
- 2026.07.31
【弁護士解説】ハラスメントで労災になる?ハラスメント発生時にとるべき会社の対応と労災認定の基準についてわかりやすく解説
「ハラスメントと労災」について、経営者の皆さまは、次のようなお悩みや課題があるのではないでしょうか。
「どこからハラスメントになるのかの線引きがわからず、従業員同士のコミュニケーションや指導がやりにくくなっている」
「会社で受けたハラスメントでうつ病になったと言われ、従業員から労災請求されて困っている」
「会社でのハラスメント発覚時に早急に対応したいが、マニュアルがなく何をすべきかわからない」
この記事では、社内でハラスメントにあたる事案が発生してしまったときに、被害者が労災申請を求めた場合の会社の対応やハラスメント防止措置について、社長の質問にお答えしながら、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
どこまでがハラスメント?会社の側からみたお悩みとは
先生、先日わが社の管理職Aさんが部下のMさんに業務上の指導を行ったところ、二人の間でトラブルが発生しました。MさんはAさんのパワハラによりうつ病を発生したとして、労災を申請したいと言っています。事実を調査中ですが、これがパワハラなのか、また労災になるのかの判断がつかず、今後会社がとるべき対応や方法もわからないため困っています。
今回はハラスメントと労災に関連するご相談ですね。ハラスメントは単なる社内の人間関係の問題と捉えられがちですが、放置すると従業員に深刻な精神疾患を引き起こし、労災発生へとつながる重大な労務問題なのです。以下では、ハラスメントと労災について、制度をふまえつつ具体的なリスク対応策をわかりやすく解説していきましょう。
企業法務専門の弁護士が解説!主なハラスメントとそのリスクや事例
パワーハラスメント(パワハラ)
職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる ①優越的な関係を背景とした言動 であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 ③労働者の就業環境が害されるもの の3つの要素をすべて満たすものを指します(労働施策総合推進法(抄)第30条の2第1項参照)。
(「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、通常就業する場所以外でも、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。また、「労働者」とは、正規雇用、非正規雇用を問わず、事業主が雇用するすべての労働者を指します。)
優越的な関係とは、たとえば、上司など職務上の地位が上であったり、知識・経験が豊富でその者の協力を得ないと仕事ができない立場にあったりと、パワハラ被害を受ける側にとって抵抗や拒絶がしにくい関係を指します。そのような優越的な関係をバックに、業務上明らかに必要性がないまたはその態様が相当とはいえない言動によって、相手に身体的・精神的苦痛を与え、就業に支障を生じさせるのが職場におけるパワーハラスメントです。客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適切な業務指示や指導はこれにあたりません。
職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型としては、以下の6つの類型があります。
■身体的な攻撃(暴行・傷害)
■精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
■人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
■過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
■過少な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
■個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
では、実際にどのようなケースがハラスメントにあたるのでしょうか?
上記で述べたとおり、ある言動がパワーハラスメントにあたるかどうかは、実際にはケースバイケースでの判断となります。厚生労働省が示す以下の詳細な具体例は一つの判断材料となりますが、必ずしもこれらの例に限定されるものではなく、また個別の状況によっても判断が異なります。事業主や会社のハラスメント担当者は、従業員から相談を受けたら、微妙なケースも含め広く対応することが大切です。

出典:「職場におけるハラスメント 対応パンフレット」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf)
職場におけるパワーハラスメントの判断においては、言動の目的や言動の経緯・状況、業態や業務内容、言動の態様や頻度、労働者との関係性、労働者側の属性や心身の状況など、さまざまな要素が総合的に考慮されます。職場におけるパワーハラスメントの認定は、適正な業務指示や指導との区別がつきにくいケースも多くあります。社内の担当者だけで判断することには誤認のリスクがあるため、知識を有する専門家による専門的判断が望ましいでしょう。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
職場におけるセクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において行われる、労働者の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです(男女雇用機会均等法(抄)第11条参照)。
「性的な言動」とは、「性的な内容の発言」および「性的な行動」を指します。
■性的な内容の発言
(具体例)
性的な事実関係を尋ねる/性的な内容の噂を流布する/性的な冗談やからかいを行う/食事やデートに執拗に誘う/個人的な性的体験談を話す など
■性的な行動
(具体例)
性的な関係を強要する/必要なく身体へ接触する/わいせつ図画を配布・掲示する/強制的にわいせつ行為を行う など
セクシュアルハラスメントについても状況はさまざまであるため、実際にはケースバイケースの判断となります。労働者の意に反する性的な言動かどうか、また実際に就業環境が害されたかどうかなどは、労働者の主観を重視しつつも平均的な労働者の感じ方を基準として、身体的接触の有無や行為の継続性、被害を受けた側の心身の状態などさまざまな要素を考慮し客観的に判断します。
「この程度の言動はセクハラではない」「被害者がセクハラだというならそうだろう」などと会社側が安易に決めつけて対応することは、従業員への人権侵害を助長するものです。対応にあたっては、先入観を持たないよう努めるとともに、初動を誤らないよう豊富な知識や経験を有する専門家に相談することが望ましいでしょう。
- セクシュアルハラスメントの具体例
-
意に反する性的な言動に対する対応(拒否、抵抗など)により、解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象から外されるなどの不利益を受けることを「対価型セクシュアルハラスメント」といいます。
(対価型セクシュアルハラスメントの例)
事務所内で性的な関係を要求したが拒否されたため解雇した/出張中の車中で胸などを触ったが抵抗されたため不利益な配置転換をした/営業所内で公然と性的な発言をしていたことに抗議され降格した などまた、意に反する性的な言動により就業環境が不快なものとなったため、能力が発揮できなくなるなど就業に重大な支障が生じることを「環境型セクシュアルハラスメント」といいます。
(環境型セクシュアルハラスメントの例)
事務所内で上司にたびたび胸などを触られ苦痛を感じ就業意欲が低下した/同僚に取引先で自己の性的な情報を流布され苦痛を感じ仕事が手につかなくなった/抗議しているにもかかわらず同僚が業務用パソコンでアダルトサイトの閲覧を続けることに苦痛を感じ業務に専念できなくなった など
妊娠・出産、育児・介護休業に関するハラスメント(マタハラ、パタハラ、ケアハラ)
職場における妊娠・出産、育児・介護休業に関するハラスメント(マタハラ、パタハラ、ケアハラ等)とは、職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産、育児・介護休業等に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や、育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることです(男女雇用機会均等法(抄)第11条の3、育児・介護休業法(抄)第25条参照)。業務分担や安全配慮などの観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動はこれにあたりません。
ハラスメントの内容には、大きく分けて「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」があります。
■制度等の利用への嫌がらせ型
産前休業や育児休業等の制度の利用に対するハラスメントを指します。妊娠・出産については男女雇用機会均等法で、育児・介護休業については育児・介護休業法で、それぞれ利用できる制度やその内容、措置などが定められています。これらの制度の利用への嫌がらせとは、具体的には、不利益取扱いの示唆、制度の利用の阻害、制度利用による嫌がらせなどが挙げられます。
・不利益取扱いの示唆
ハラスメント行為者となりうるのは、上司です。1回の言動でもハラスメントに該当します。
(具体例)
産前休業の取得を上司に相談したら「辞めてもらう」と言われた/時間外労働の免除を上司に相談したら「昇進はないと思え」と言われた など
・制度の利用の阻害
ハラスメント行為者となりうるのは、上司・同僚です。上司の場合は1回の言動でもハラスメントに該当しますが、同僚の場合は原則として繰り返しまたは継続的に行われる場合が該当します。
(具体例)
育児休業の取得を上司に相談したら「男のくせに育休なんてあり得ない。」と言われ、諦めざるを得ない状況になっている/産後パパ休業の取得を周囲に伝えたところ、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」と言われ苦痛に感じた/介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき。」と言われ、「それでも取得したい。」と再度伝えたが再び同様の発言をされ取得を諦めざるを得ない状況になっている など
・制度利用による嫌がらせ
ハラスメント行為者となりうるのは、上司・同僚です。いずれの場合も、原則として繰り返しまたは継続的に行われる場合がハラスメントに該当します。
(具体例)
上司や同僚が「所定外労働の制限をしている人間にたいした仕事はさせられない」と繰り返し、雑務だけをさせられ就業に重大な支障が生じている/上司や同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて迷惑だ」と繰り返し、就業に重大な支障が生じている など
■状態への嫌がらせ型
女性労働者が妊娠・出産をしたこと等に対するハラスメントです。不利益取扱いの示唆や、妊娠・出産をしたことへの嫌がらせなどが挙げられます。
・不利益取扱いの示唆
ハラスメント行為者になりうるのは上司です。1回の言動でもハラスメントに該当します。
(具体例)
上司に妊娠を報告したら「別の人を雇うので早めに辞めてほしい」と言われた など
・妊娠・出産をしたことへの嫌がらせ
ハラスメント行為者となりうるのは、上司・同僚です。いずれの場合も、原則として繰り返しまたは継続的に行われる場合がハラスメントに該当します。
(具体例)
上司や同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し、仕事をさせてもらえず就業に重大な支障が生じている/上司や同僚が「妊娠は繁忙期を避けるべきだった」と繰り返し、就業に重大な支障が生じている など
これらのハラスメントの認定についても、他のハラスメントと同様ケースバイケースの判断が求められます。「不利益取扱い」の具体例は厚生労働省の出す指針などで列挙されていますが、その内容が多岐にわたり、判断の難しいものもあります。また、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的に見て「業務上の必要性に基づく言動」であればハラスメントにはあたりませんが、それが強要や一方的な通告に近いものであれば、やはりハラスメントとなりかねません。
このように、マタハラ、パタハラ、ケアハラと思われる言動が発覚した場合、安易にハラスメントか否かの判断をしないことが大切です。一般的には、ハラスメントが起こった経緯や状況について十分に調査し、法律や政府指針、判例などの専門知識をふまえた適切な対応が必要です。
豊富な専門知識や経験を有する企業法務専門の弁護士であれば、会社のこのようなお悩みにも対応が可能です。ぜひ、弊所の法務サービスをご利用ください。
- 業務上の必要性に基づく言動』とは?
-
では、ハラスメントに該当しない「業務上の必要性に基づく言動」とは、どのようなものでしょうか?
たとえば、社内の業務分担を調整するために、妊婦健診の日や育児休業等の時期を尋ねる、またこれらについて変更が可能かどうか尋ねるなどの、制度の利用をする労働者に対する依頼や相談は、それが強要でない限り、業務上の必要性に基づく言動としてハラスメントにはあたりません。
また、妊婦に対し「体への負担が大きいから、楽な業務に変わったらどうか」「体調が心配だから、業務量を減らすのはどうか」「つわりで辛そうだから、少し休んだほうがよいのではないか」と声をかけるなど、相手の状態に対して配慮する言動は、たとえその労働者本人の希望とは異なっていたとしても、客観的にみて業務上の必要性に基づく言動となり、ハラスメントにはあたらないといえます。
このように、制度の利用をする労働者に対する依頼や相談、配慮自体がハラスメントとなるわけではありませんが、それが労働者に対する強要や一方的な通告となっていないかどうかが重要です。
出典:「職場におけるハラスメント 対応パンフレット」(厚生労働省)をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf)
ハラスメントで精神疾患に?労災認定はどのようにされるのか
精神障害における労災の認定基準
一般に、労災の認定にあたっては、以下の2点が考慮されます。
■業務起因性
労働災害のことを、略して一般に労災といいます。労災とは、労働者が仕事または通勤が原因でケガや病気などの災害に遭うことをいい、仕事が原因の災害を「業務災害」、通勤が原因の災害を「通勤災害」といいます。
国の機関である労働基準監督署に労災だと認定されると、労災保険が支給されます。この認定には、一定の基準が定められています。
労災だと認定されるためには、災害が「業務上」のものであることが必要です(労災保険法第7条第1項第1号)。「業務上」とは、業務が原因となったということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。これを一般に「業務起因性」といいます。
■業務遂行性
労災保険は労働者のための保険ですから、「業務起因性」を判断するにあたって、労働者が被災したときに労働関係のもとにあったか否かという点も問題となります。これを一般に「業務遂行性」といいます。具体的には、労働者が事業主の支配・管理下で業務を遂行していたかどうかで判断されます。
【精神障害の認定】
近年、仕事によるストレスが関係した精神障害についての労災請求が増えています。職場におけるハラスメントによる精神疾患の発症もその一つです。厚生労働省では、精神障害を労災として認定する基準が定められ、その後令和5年9月に改正されました。精神障害は、仕事以外の原因による発症との区別が難しいために、労災認定へのハードルが高いケースといえます。
精神障害の認定の要件として、
■認定基準の対象となる精神障害であること
■認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
■業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
が必要です。
これらについては、具体的出来事をあげた「業務による心理的負荷評価表」や「業務以外の心理的負荷評価表」などの基準に沿って判断されることになっています。令和5年の改正ではさらにこの具体的出来事が拡充されるなど、近年はより認定基準が明確になりつつあります。
▶ 参考情報:労災の認定基準については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・労災の認定基準とは?弁護士がわかりやすく解説
労災保険の申請手続き
労災に遭った労働者やその遺族が国に申請をし、国から保険給付を受けて治療や通院の費用、生活の安定など必要な保護を受けることのできる制度が労災保険制度です。職場におけるハラスメントによる精神障害についても、要件を満たしていれば労災保険制度が適用されます。
労災保険の加入は、事業主の義務です。たとえ一日でも従業員を雇用した事業主には、労災保険に加入し、労災保険料を支払う義務があります。また、労災に遭った従業員が政府に労災保険を請求する場合、事業主には助力義務があります。
代表的な労災保険給付として、以下の種類があります。
■ケガや病気の治療費(療養の費用)を請求するとき:療養(補償)等給付
■ケガや病気の治療のため仕事を休み、給与が支給されないとき:休業(補償)等給付
■労災で親族が死亡したとき:遺族(補償)等給付、葬祭料等(葬祭給付)
■特に傷病が重く、長期に治療を継続する必要があるとき:傷病(補償)等給付
■介護が必要になったとき:介護(補償)等給付
(ここではまとめて表記していますが、業務災害の場合は〇〇補償給付、通勤災害の場合は〇〇給付と表記されます。たとえば、業務災害の治療費の給付であれば「療養補償給付」、通勤災害の治療費の給付であれば「療養給付」といいます。)
労災保険給付の請求は、被災した労働者本人が請求人となります。請求人は会社を管轄する労働基準監督署に請求書を提出します。実際には労働者はケガの治療に専念していたり手続きに不慣れであったりする場合が多いため、知識のある会社担当者などが主導して申請手続きを行うケースが多いでしょう。
出典:「労災保険給付の概要」(厚生労働省)をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyousei/rousai/040325-12.html)
▶ 参考情報:労災保険の申請の手続きについては下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・労災保険の申請の手続きとは?会社側の対応をわかりやすく解説
ハラスメント防止のための会社の義務とは?
会社の法的責任とは?
安全配慮義務と使用者責任
■安全配慮義務
事業主には、労働契約法において、労働者への安全配慮義務(労働契約法第5条)が定められています。労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」とありますが、この「生命、身体等の安全」には心身の健康も含まれます。ハラスメントを放置したり誤った対応をした事業主は、安全配慮義務に違反したとして、民法上の債務不履行責任を問われ損害賠償請求をされることがあります。
■使用者責任
事業主には、民法上、使用者責任が定められています。使用者責任とは、事業のために他人を使用する者(使用者)が、被用者(他人に使用される者)が事業の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者もその損害を賠償しなければならないとする責任のことです(民法第715条第1項)。従業員を使って利益を得ている事業主は、その業務について従業員が他人に与えた損害についても賠償責任を負わなければならないとする考え方です。
以前の日本では、従業員同士のもめ事は個人の問題として片付けられることが多かったのですが、近年の
判例(過去に実際に行われた裁判の例)では、ハラスメントを放置したり誤った対応をしたために、使用者が管理職等を通じて被害者の人格権を侵害したとして民法上の使用者責任を負うケースがみられます。
法や指針における責務規定の内容
令和元年の法改正により、職場におけるハラスメント防止のために、法や指針において事業主や労働者に対する以下の責務規定が定められています。
【事業主の責務】
■職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること
■自社の労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること
■事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うこと
【労働者の責務】
■ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うこと
■事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
職場におけるハラスメントは、従業員個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為であることはもちろんのこと、従業員の就労意欲の低下による職場環境の悪化や職場全体の生産性の低下、従業員の健康状態の悪化、従業員の休職・退職など、会社経営上も重大な損失が生じかねない問題だといえます。職場でハラスメントが発覚した場合、プライベートな問題だからと見守るのではなく、会社主導での早急かつ適切な対策が不可欠となります。とはいえ、ハラスメント問題は人間関係上の問題でもあるだけにこじれやすいのも特徴です。初動を誤らないためにも、まずは専門家に相談するなどの慎重な対応が必要です。
会社が必ず講じるべき4つのハラスメント防止措置
厚生労働大臣の指針は、事業主に、雇用管理上必ず講じるべき措置として以下の措置を義務付けています。自社でこれらのハラスメント防止措置が不十分だと感じたら、早急に対応することが必要です。
会社の方針の明確化と周知・啓発
■ハラスメントの内容と、ハラスメントを行ってはならない旨の事業主の方針を明確化し、労働者(管理監督者を含む)に周知・啓発すること
■ハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針と対処の内容を、就業規則その他職場の服務規律を定めた文書に規定し、労働者(管理監督者を含む)に周知・啓発すること
相談体制の整備
■相談窓口をあらかじめ定め、労働者に通知すること
■相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること
パワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、パワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること
事後対応
■事実関係を迅速かつ正確に確認すること
■事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
■事実関係の確認ができた場合には、速やかに行為者に対する措置を適正に行うこと
■改めてハラスメントに関する方針を周知・啓発するなど、再発防止に向けた措置を講じること
(ハラスメントの事実が確認できなかった場合にも、同様の措置を講じること)
上記とあわせて講じるべき措置
■相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること
■事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
マタハラ・パタハラ、ケアハラではこんな点にも注意が必要です
マタハラ・パタハラ、ケアハラでは、以下のような措置も必要とされています。
■ハラスメントの発生原因や背景となる要因を解消するため、業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者等の実情に応じた必要な措置を講じること
マタハラ、パタハラ、ケアハラの発生原因には、周囲の労働者の業務負担の増大が大きな要因としてあげられます。そこで、周囲の労働者への業務の偏りを軽減するよう適切に業務分担の見直しを行うことや、業務の点検を行い業務の効率化等を図るなど、業務体制を整備しハラスメント発生の要因を解消するために必要な措置を講じることが求められているのです。
出典:「職場におけるハラスメント 対応パンフレット」(厚生労働省)をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf)
要チェック!令和8年に義務化される新たなハラスメント対策とは?
令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます。
■カスタマーハラスメント対策の義務化(改正労働施策総合推進法・指針より)
職場におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)とは、職場において行われる ①顧客等の言動 であって、 ②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、 ③労働者の就業環境が害されるもの の3つの要素をすべて満たすものを指します。
顧客からのすべての苦情がカスハラにあたるわけではありません。また、カスハラの手段は電話やSNS等によるものも含まれます。
■求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化(改正男女雇用機会均等法・指針より)
求職者等に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、事業主が雇用する労働者による「性的な言動」により求職者等による求職活動等が阻害されるものをいいます。
休職者等とは、求職者や、求職者ではないが会社の実施する採用活動に参加する者や、教育実習・看護実習等の実習を受ける者を指します。また、求職活動等とは、たとえば企業の就職説明会、採用面接、インターンシップなどへの参加、教育実習や看護実習の受講など、職業の選択に資する活動を指します。
「性的な言動」とは、「性的な内容の発言」および「性的な行動」を指します。具体的な内容は、「2-2.セクシュアルハラスメント(セクハラ)」の項をご参照ください。
カスハラや求職者等へのセクハラについても、基本的には他のハラスメントと同様に、4-2で挙げたハラスメント防止措置を講じることが義務づけられます。経営者の皆さまは、令和8年の法改正に対応するために今から準備をしておく必要があるでしょう。もちろん、法改正にも詳しい企業法務専門の法律事務所のが、経営者の皆さまをサポートいたします。
出典:「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」(厚生労働省)をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/content/001662629.pdf)
ハラスメント対応の難しさ~困ったら法律事務所にご相談を~
ここまで述べた通り、ハラスメントにあたるかの判断や、ハラスメントにおける労災認定の判断は非常に難しく、高度な専門知識が必要です。にもかかわらず「たいしたことではない」「従業員間のトラブルだから会社は関係ない」などと考え、専門機関への相談や対策を検討もせず放置してしまう事業主が多くいます。
従業員同士の人間関係の問題にすぎないと軽く見ていると、初動を誤ることになりかねません。ハラスメント行為者や被害者への対応が不適切であった場合、会社が損害賠償を請求されたり、法令違反で監督官庁などから処分を受けたりすることがあります。ひいては、当事者以外の従業員の信頼や取引先の信用を失い、会社存続の危機にもなりかねません。職場のハラスメントは決して見過ごしてはいけない重大な労務問題だという意識を持つことが大切です。
初動を誤り重大な責任問題に発展させないためにも、会社担当者の皆さまは、不安を感じた段階ですぐに企業法務専門の弁護士にご相談ください。企業法務を専門とする当法律事務所は、高度な専門知識を武器に、企業側の立場に立ったベストな解決法をご提供することができます。また、ハラスメントを受けた従業員へのサポートについてのお悩みにも、法律事務所から会社担当者の皆さまに向けた最適なアドバイスを行います。
ハラスメントと労災に関するお悩み、リスク、課題は解決できます
ハラスメントと労災について、リスクや会社がとるべき対応策を詳しく教えてもらえたので助かりました。
今回、小野弁護士のアドバイスを受けて、AさんとMさんのトラブルを従業員同士の問題にとどめず会社の問題として的確に対応することができました。現在Mさんは労災補償給付の決定を受けて療養しており、会社全体としても今後従業員に同様の問題が起こらないよう体制の見直しを図っています。
社長が早期にご相談くださったおかげで、こじれる前に解決ができてよかったです!AさんとMさんのトラブルを従業員同士の問題として放置していたら、企業責任を問われかねないところでした。
ハラスメントや労災の問題には高度な法的判断が必要となりますが、企業法務以外の専門家に相談しても会社のお悩みにピンポイントでアドバイスがもらえるとは限りません。経営者の立場に立った柔軟で最適なアドバイス、それこそが企業法務専門弁護士の強みです。会社の問題は、ぜひ当事務所にご相談ください!
この記事では、ハラスメントと労災について、経営者の皆様が直面すると思われるお悩み、リスク、課題について、ヒントになる基本的な知識をお伝えしました。
これらの情報を、皆さまの会社にうまくあてはめて、一つずつ実行していくことで、貴社のお悩みや課題が解決し、貴社の皆さんが笑顔で、ビジネスが成功する未来が実現すると信じています。
しかも、頼りになる専門家と一緒に、解決できます!
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、多くの企業様へのご支援を通じて、会社のハラスメント問題を解決してきた実績があります。
また、オンラインを活用したスピード感のある業務に定評があります。
当事務所にご依頼いただくことで、
「従業員間でハラスメント事案が発覚したときに、使用者の義務や会社の対応について流れや理由とともに一覧でポイントをおさえた説明が受けられる」
「従業員のハラスメント労災の際に求められる会社対応について、ハラスメントや労災認定の基準を明らかにしつつ具体的な対応策が提示されるので、不安が解消される」
「従業員本人に対して適切なサポートや制度の紹介ができ、安心が得られる
「専門家に確認をしながら手続きができ、会社としても先を見据えたスピーディーな対応が可能となる」
「ハラスメント対応や労災請求のことで労働者とトラブルになり、社内での解決が困難な悩ましいケースにあたっても、会社の立場や影響を考慮した多面的なアドバイスが受けられる」
さらに、
「会社が適切な対応をすることで、労災認定後の従業員の仕事復帰をサポートするとともに快適な職場環境の整備ができ、従業員の信頼を得て会社の結束が高まる」
このようなメリットがあります。
顧問先企業様からは、
「ハラスメント事案が発覚し、被害を受けた従業員から労災を申請したいと言われたときは困惑してどうすればよいかわからなかったが、会社がとるべき対応について経営者の立場に立ったアドバイスがもらえ、安心して手続きを進めることができた」
「従業員には、法律事務所のアドバイスに沿って丁寧な対応と説明を行い、落ち着きと安心を与えることができた」
「労災に限らず多方面にわたるアドバイスを得られるので、対応漏れや手続き漏れの心配がなくなった」
このようなフィードバックをいただいております。
当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただきたく、「メールでスピード相談」をご提供しています。
初回の相談は無料です。24時間、全国対応で受付しています。
問題解決の第一歩としてお問い合わせ下さい。
こちらから「メールでスピード相談」ができます。
■この記事の内容は、「わかりやすさ」と、「要はどうすればいいか」にフォーカスして作成しています。そのため、法律の教科書的な内容とは違う場合があります。このような目的をご理解の上、お読みいただければと思います。社長の実際のお悩みを解決するために、是非専門家にご相談ください。
- ご相談はこちらから!
- 社長のお悩み解決に「特に強い」弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所に、下記からご相談ください。
- メールでスピード相談
24時間受付中! - 電話でお問合せ、全国OK!03-4405-4611電話でお問合せ、全国OK!03-4405-4611

-
弁護士 小野 智博弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業顧問を専門とし、社長からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行う。
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」




